きたないもののように/ベンジャミン
小学校4年生のとき
はじめて「せっくす」という言葉を理解した
小学校5年生のとき
クラスの女の子に
「ねぇ せっくすしよっか」て言われて
股の間をさわられた
赤くなって黙ったままの僕を見て
そのこは「うそだよ」て笑って言った
僕はきゅうに気持ちが悪くなり
その場にうずくまって吐いた
吐いたもののように
自分はきたないのだと思った
茜色に染まった教室で
記憶を真っ白に塗りかえてしまいたいと思うほど
幼い僕は
何も知らなかった
今でも
僕は差し伸べられた手に戸惑う
それは差し伸べられた手のせいではなく
あの日吐いたものが
消化されずに散らばったままだからだと
鏡に映る自分に向かって
つばを吐きつける
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