ほほえむ 顔/立見春香
 

うす汚れた
けだものの涎が熱い

この顔に
塗りたくられる
情熱の匂いがする
ねばつく息がくさい

それを
好ましいと思ってしまった
わたしの心臓が早い

いだきたい背中に
致死量に達する血の針の爪を立てたい
わたしの気持ちが重い

だれか
助けて

自由に手に入れることができる
愛する気持ちとかなら
まだ良いんだけど
無理矢理押し付けられる
淋しいけど言うことをきかせる
獣の声で叫ばれる
奪イタイ!
ってヤイバだけは
突き刺さるし
慣れないし
拒絶したい

けど
だれか
助けて

どんどん煙は
そちらがわへも
流されて
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