あなたの夢をはじめて見た/ただのみきや
夢の中となりに座ったあなたと話すことが出来なかった
夢でもいいから会いたいと願ったあなたがすぐ横にいて
あなたはもはやあなたではなくわたしの心の影法師なのに
あなたを知りあなたの心を慮ることで虚像すら燐光を放ち
清流の魚を掴むかのようそこに在りながら躊躇して深みへ
消えてしまうことを恐れては手をこまねいて見つめていた
目覚めても諦められずに再び眠りの中へ追いかけて
いつもより長く 次から次へと夢の中
あなたを求め どんなに夢が変わっても表象が変わっても
失くしたものを探すように
決して間にあわない待ち合わせに急ぐかのように
飛び乗った船の人込みに恋人の姿を見つけられない若者
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