稜線/帆場蔵人
山の稜線が静かに燃えている
白々と、諸人の魂や神々が
頂きへと登りゆく夕まぐれ
誰もがすれ違いながら
互いに頷きあう、それも無意識に
生命が燃えている、あの山の頂きへ
向かうときではない、すべての生命が
煮え滾る釜に戻る日まで、あがけばいい
あゆめ、歩め、ゆめゆめ忘れることなく
いつかあの美しく燃える稜線をたどり
頂きから皆、生まれるまえへまえへ
星のように燃え盛りながら落ちてゆく
あゆめ歩めゆめゆめわすれることなく
山の稜線をたどり
諸人の魂や神々が
春を迎えるために
太陽の竃へと落下してゆく
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