聖堂/ホロウ・シカエルボク
て、もう一度上に戻り、肉体にすべてを戻した、肉体の状態はまだ不完全なままだった―そういえばいつか、そんな話を書いたことがあったなと俺は思い出す、死んだのに、肉体から出て行けない霊魂の話だ―耳鳴りがする、悲鳴のような高周波のノイズ、俺は軽く首を左右に揺さぶる、そんな行為には何の意味もなかった、何の意味もない…ひたすらに無意味な、白濁した感覚の羅列、理由や、意味などについて考えることに興味なんかないけれど、時々、考えてしまうんだ、こいつは俺を生かそうとしているのか、それとも葬ろうとしているのか…それはおそらく俺自身の思考と密接な関係があって、ほんの少しのボタンの掛け違いでも致命的なダメージを及ぼすことだって出来る―「出来る」っていう感覚が初めて出てきたな―俺はカーペットの上に激しく嘔吐する、明らかに食ったものよりも多い量を…徹底的にぶっ壊れている、ガラクタみたいなもんだ―ガラクタに出来ることと言えば、やかましく騒ぎ立てる事ぐらいさ…。
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