靴音/服部 剛
 
長い間 探した虹は見つからず
今日の行方を、風に問う

僕の内面にある
方位磁針は
今も揺れ動いている

風よ、教えておくれ
ほんものの人の歩みを
日々が旅路になる術を

群衆の眩暈(めまい)、僕の眩暈
時代の眩暈、君の眩暈
この街の淡い眩暈に
いつのまにか侵されて
よろめく僕は

雑踏の只中(ただなか)に立ち止まり
息を吸っては、吐きながら
無数の靴音に埋もれた
人の鼓動を探して 
もう一度 耳を澄ます  





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