迷宮の子どもたち/塔野夏子
 
のかなんて
  はっきりするのはつまらないな

迷宮の子どもたちは
たのしげに歌いつづけている
迷宮の外にいる私は
自分が今どこにいるのか知っている(と思っている)私は
なぜかふと彼らがうらやましくなったりするが
自分がその迷宮には入れないことも
仮に入っても迷うことを楽しめないことも
知っている

迷宮の子どもたちの歌は
たのしげに響いている
私は胸のどこかでずっとそれを聞きながら
迷宮の外を歩いてゆく



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