行き場のない夜に/
帆場蔵人
わたしの椅子に
誰かが座っていたから
夜の浜辺に座っている
冬の日本海が
風邪をひいたように
ぐずっているから
ハーモニカを吹いてやる
いつまでも吹いてやる
なぜなぜ泣くのか
浜辺に埋まる硝子片
涙のように散り光り
夜の浜辺を椅子にして
波をあやしてあやされて
迎えの船はあてもない
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