最新の手紙/ドライ運河
 
ひたひたと湿り気を帯びた風が前髪を揺らしている
地肌にまとうスワジランド製の毛並みは
大脳真皮質の保護という役目を終えて
政治家をイミテーションする
我執をはらむパッケージとして
リングサイドに胡坐をかいて三十余年

末端神経がおびえて閉じこもる
凍えてかなわない網走のエントランスで
失われゆく細胞の一片を掬い取り
零れさすまいとよたよた慌てふためく
俺の姿はまるで高砂部屋のチャンコの具だ

もしかしたらもしかして
かもしだしたカモノハシ

しめやかに一句詠みかけたのは北綾瀬から綾瀬に伸びる
線路脇の路傍のうえ
そこではまさしく強盗としかすれ違わない
取り返し
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