シティ/るるりら
いる
列車は とりたててさわぎたてるものもなく 地図に突入してゆく
もう呼吸をあらだてるほどのことではない
すこし余裕ぎみに窓の外を見ると 風圧とともに画布の破れる音がして
なにやら故郷の文字を確認した気がしたが、はて
日本のことを忘れた
なんという水平線だろう
なんという清々しさだろう
列車はより一層加速して またまたトンネルにさしかかった
列車の中に短い音楽が流れたあと アナウンスが入った
「いつも ご乗車ありがとうございます。
この列車は、あなたの心の中に向かいます。
つぎは こころの中 こころの中」
バシュという音がして列車は
自宅の家の近くの駅に止
[次のページ]
[グループ]
戻る 編 削 Point(4)