幸せ疲れ/葉leaf
ねて、相手の親に顔を合わせ、指輪を注文し、両家の食事会を執り行い、結婚式を段どる、すべての疲労が一気に押し寄せたのもある。だがそれ以上に、幸せとは疲れるものだった。私は交際から儀式に至るまで幸せの渦中にあり、幸せによって高ぶった気分がそこでひと段落ついたのだった。私は幸せに疲労したのだ。
人によって自分の何をマネジメントするかは異なる。腹の具合に気を付ける人もいれば花粉症に気を付ける人もいるだろう。だが私は主に疲労をマネジメントすることが習慣づいていた。体調を崩したり風邪をひいたりしないための疲労のマネジメントには気を使っていた。幸せもまた体調を崩す。幸せもまた疲労の原因である。何かここには人生の諧謔があるような気がする。
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