海風/ゴデル
 
俺のいのちが
下水を通って
どぶ川にダイブした

もともと軽いそれは
プカプカ
河口まで流れていった

突然無数の
鈍色のナイフに囲まれた
ボラの稚魚の群れだ

俺のいのちは
ぐちゃぐちゃに
食い荒らされてしまった

こんなものが好きだから
死んだような目をした
成魚になるのだろう

せっかくここまで
崩れないでいた
俺のいのち

赤い海の
灰色の水平線まで
溶けて広がった

海鳴りとともに
大容量の
臭くて冷たい風が
俺の顔に当たった

口の中で吐いたげろを飲み込んだ










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