Fuoco Intrappolato/閉じ込められた火との約束/AB(なかほど)
いうのに
夢か現かもさだかではない世界は
とても居心地が良くて
ただ何も知らないことが
幸せだと思えてしまうのだけれど
傷つけずにすむのなら
戦わずにすむのなら
と目を閉じているうちに
大切なものが消えてゆく
大切なものが
消えていった
それが何かさえも忘れて
今朝のコーヒーのいれかた失敗したな
と思ったつかの間とか
あの娘の胸元きれいだな
と横目で見たつかの間にも
どこかで誰かが泣いたりしていることも
忘れてゆく
僕たちは
忘れてゆく
僕たちは
それぞれの命を生きているのか
消えそうな声に
消えそうな笑顔に
消えそうな全てのもに
耳を澄ませファイヤーバード
眼を開けファイヤーバード
心を開けファイヤーバード
その足で蹴りだせファイヤーバード
血潮が流れている
自分自身からも目を反らさずに
解き放てファイヤーバード
心の中のファイヤーバード
やがて僕らも消えゆくもの
ならば
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