小夜時雨たたずむ夜に/
帆場蔵人
小夜時雨、わたしは夜のなか
朝をしらない、昼にふれば
だれもわたしを小夜時雨と
よびはしないから、涙もない
夜の静寂を細いゆびでたたく
あの窓明かりからのぞくひと
あなたがわたしをわすれたように
わたしもあなたをわすれたけれど
わたしはいます、細いゆびのひと
小夜時雨、わたしは夜のなか
朝には雪に変わるでしょう
戻る
編
削
Point
(3)