ひかり注ぐ手/木立 悟
消えない泡が
夜の空を見つめ
やがて
もうひとつの夜になる
曇を見るたび痛む目に
雨は常に降りつづき
左側が
見えなくなってゆく
縦の紙を手に取る
縦の紙は揺るがない
縦の紙を土に刺す
縦の紙は冬になる
ただひとりの凍える径が
蒼い炎の花に飾られ
時おり空に到きながら
おとぎばなしを燃してゆく
ひとすじの光の水から
もうひとすじの光が分かれ
水に映る空と窓から
白い星のすがたの人が見ている
どれほどの数の
どれほどの永さの糸が
光を創ろうとしているのか
鏡に向かい ひとり問いながら
冬の原がめくる頁
幾度も幾度も巡る羽
受けとめようと待ち構えるものにけして触れることなく
ただそこに在るそのままの小さな手をかがやかせてゆく
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