メモ/はるな
 
私よりも、触らなくても存在している思考や、言葉を脱がしていって、むき出しにしてね。手ごわい夢、コーヒーをおかわりする、履けなくなった靴、予約の延期、ほとんどなにもこわくないよって顔をして、歩くのだ。ブーツのなかで凍える指、ばらの棘入りの手、杖、帽子、新宿三丁目、花柄。わたしたちはみんなちがうし、ほとんど差はないよ。くしゃくしゃになった包装紙とか、レースのカーテンくらい。行こう、行く、人々がなにひとつ許さなかったとしても世界はそうではない。
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