一匹の、鬼の世界に、降る雪は/
秋葉竹
えんと
眺めつづけていたんだ
人も獣も、おだやかに眠っている
古くて懐かしい、
雪降る世界の片隅で。
夜もなく、朝もなく、
ただ気持ちの続く暖かな声で
聴いたことのある、だが、
調子っぱずれな歌を
真剣に聴き、真似をしてかたるなら
その歌は、まよなかの命となるだろう
声もなく、怒りもなく、
雪原最後の罪人となる覚悟を固めて
そして世界を
真白に
覆う
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