一匹の、鬼の世界に、降る雪は/秋葉竹
 
鬼というなら
心が欲しい。

なにひとつとして
たにんを気にせずいられる
欲しいものは欲しいといえる
安易で強引な欲望を
この無神経な腕で、掴みとれる
鬼が持つべき
心がほしい

孤りになった
凍てつく席で
冗談じゃない、と
強がるしかない。

座ったままでも
石として
心を持たない鬼として
火傷をおうほど
狂った火力で
やつれた希望を
焼き尽くす

雪が降る
雪が降る

しんしんと
降り積もる
鬼さえ埋めるわざわいの雪

雪が降る
雪が降る


あたしの頭にある角は
人刺し殺す獣の武器
あたしの心をもてあそぶ
やつらを殺
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