はじまりの鐘/青の群れ
寄せては返す波に
少しずつ後ずさりする
わたしたちは些細な願望や欲望を叶えて
どうにか生きながらえているね、平成
何か言い訳をしたくて仕方ないだけなら、
たとえば、あの鐘を撞いてみればいいよ
きりが無いようにすら思える反復
嫌いになったわけでもないのに
あなたの手の感触を忘れていく
産声をあげてから静寂に還るまで
小さく、だんだんと丸くなる記憶
新しい年号生まれのあなたに
託す夢が思い浮かばない
あれから七年、何が変わったかな
冬の星の光は鋭く光り続けている
ただ純粋に寂しいと言えずに
まだ終わらなくていいよって、
わたしたちは鐘の音を聞く
さようなら
命はそのうちに燃えて、
残光は朝の海に沈む
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