ほころぶほろび/秋葉竹
 
た真摯な祈りの狭間に

夜に棄て去る2色の夢と

狂おしい甘さの愛しさの香りを

抱いて眠るように、夜の女になる



来なくてもいい。


聴こえない愛の囁きが

フクロウの森の中で泣く夜の

やがてゆうるりと立ち上がる女郎蜘蛛の

黄色い花の声に掻き消されたから

届いたまぼろし色の安らぎの頬を撫で

静かにしなさいと目でかるく注意をして

お互い冷たいくちづけをかわすとき

握り締めあった情熱のてのひらの熱量が

ふたりの心を均等に溶かしあい

ほかには伝わらない生きる意味のすべてを

共有すると誓ったんだそれをたましいの

片割れ同士と呼ぶのだと

降り積もる白雪に醒めた目で

なじるように教えられた



来なくてもいい。


そんな世界の終わりが今夜、

始まるのだとすれば、

その中心に鮮やかに聳え立つ正義を貴いと思えと

無理強いする正しい人生なんて、

このあとにもさきにも、

来なくてもいい、それでほろぶのだとしてさえ、いい





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