ほころぶほろび/秋葉竹
来なくてもいい。
なんども待ち侘びた声の残滓が
まじわる心のゆく先に咲く
いっぽんのありえない人生に追いついて
その熱さに目もそむけ
2度と見られなくなったとしても。
あなたの瞳に忍び込んだ
悲しみの色合いは、まだ、
1度も見たことのない魔術だから。
来なくてもいい。
だから、それを、追わなくていい。
誰からも好かれない心を映す鏡を
叩き割って、しまいたくても
そこにあるべきものがあるように
見たこともない純粋な目を持つ鏡を
置いておく必要があり
その顔を引きつらせた真
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