ト なって10 飲む呑まれる/ひだかたけし
いき
底の底無し
逃れ去る
底から
声の木霊する
[雨に濡れて歩みいく貴女は
井戸を見つけ中を覗き込み
歌をうたいながら底に座る
柔らかな底の其処に
麗しい声を響かせて]
(記憶の億を迎えて迎えて)
毎晩毎晩懐かしい
悪夢をみる
呑まれていく
地の底割れて
紅の肉ヒダ
剥き出し
蠢き
迫り来る
上も下もなくなって
迫り渦巻き
呑まれていく
在るもの、在るもの
生きて逝きて
静まり返り
境を越えた声、響く
やはらかに崩れ動いていく
底の底から
光帯び
うねり生動し
様々な
声、
木霊スル
この瓦礫ノ現に
サササササッ
と
走る
スススススッ
と
消える
既に静まり在るもの
森羅万象、
サササササッ
スススススッ
ハシル キエル
消え走る!
呑まれ飲んで
また呑まれ
生きて生きて
底無し底の声の方へ フルサトへ!
戻る 編 削 Point(3)