わたしに咲く薔薇/帆場蔵人
 
季節外れの薔薇をみた
薔薇を吸えば棘にひりつき
裂けた咽喉に根を張り、歌う

あぁ、私は美しさ故に人を傷つけても
こうして許されています

(なんて傲慢……)

咳は止まず、薔薇を吸えば吸うほどに
咲く悦び、わたしは待つ

冬が冷たく研いだ鎌で
薔薇を断ち切り
永遠に変えるのだ

(なんて傲慢……)
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