いのり/服部 剛
 
まぼろしの人は戸口を開けて、歩いていった
後ろ姿が遠のいてゆく
夕映えへ連なる… 小さな足跡

――それを誰かは数珠と云い
――それを誰かはロザリオと云い

      *

木漏れ日の囁く道を往く、旅人は
ふいに知る
久しく忘れた哀しみの意味を  






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