スラップスティック・メルヘン/ホロウ・シカエルボク
 
ングって人を幸せにするわ」
「次に刺されたら俺は間違いなく死ぬな」
彼女は笑いながら物凄い力で俺の背中を叩いた、それから俺にとんでもなく高い料理を奢った、今回は俺がひどく緊張する番だったわけだ
それからも俺たちは時々会っている、彼女は高校を卒業し、めでたくインストラクターの職を手に入れた、教え方が上手いらしく、人気があるそうだ「人にものを教えるってことは」と彼女はいつも得意げに話す
「自分の知ってることを片っ端から話すだけじゃ駄目なの、相手がそれをきちんと理解出来たかひとつずつ確かめていくことが大事」たいしたもんだ、と俺は相槌を打つ、そして、あなたはいつ私の生徒になるのかと問い詰められてのらりくらりと交わす、それから彼女はやれやれという表情で決まってこう言うのだ「ところでいい人は出来たの?」
「ずっと一人で居るつもりなら私が力ずくで奪っちゃうからね」
今度捕まるのも俺の番―そういうことなんだろうか?


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