有想枕/ふじりゅう
 
を 強引に霧散する。
僕は干からびた 八足の嫌われ者のよう
ライターもチャッカマンもガスが抜けて久しい。
よしんばあっても 燃えるモノなど残ってない。
 仕事鞄も、くたびれたら捨てちまおう。
今日も心臓が、元気だ。明日もきっと、元気だ。

僕は、魔法ビンとうっすら夢想してた、
器を逆さにしてみた。
むくりと部屋を出、埃の布団を剥がして
ちっぽけな手紙を広げた 記憶を広げた
月を見上げてみた。一つ一つが
一つ一つの行動が あれよ という間に過去になった。

コロン。
と 小さな音に 僕は気づかなかったけど
突然生まれた器の上のあれは
捨てなかった全ての火の粉の結晶だと
一つ一つを生き抜いたあとで 分かった小さなことだった。

うとうとしてくる。胸が燃えるのが分かる。
 明日も、大切で小さなフレアの一片になるから

考えなくなった。寝た。

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