デラシネ/
草野大悟
はる風がふくと
ぼくらは旅に出る
あき風がふくと
ぼくらは旅に出る
風がふくたびに
ぼくらは彷徨い
風がふくたびに
ぼくらは傷つき
その代償のような
中途半端な安息を得てきた
海辺の町では足
ベットタウンでは腕
都会では胆嚢と心臓と脳
蛸さながらに我が身を食って
中途半端な安息を得てきた
小さなころから
ぼくの心の中を吹く風は
ぼくがぼくらになった今でも
心の中を吹きつづけ
たとえ食うべきものが無くなっても
デラシネの生を歩めと言う
戻る
編
削
Point
(8)