葡萄/
ミナト 螢
揺れて落ちて
踏まれた一粒が
私の涙だった
気がするよ
甘い味をした
透明なままの
レンズが割れて
元に戻せない
何も見えなくなった
夜の深さを
果実で埋めようと
手を掛けたけど
心臓がたくさん
あるのだから
その中のどれかが
爆発しそうな
不安や哀しみが
充満して
唇の色を
紫に変えた
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