百円のライターで/
こたきひろし
百円のライターで火をつけて
燃やしたいものは何だったかな
役に立たない教科書の隙間に
少年は卑猥な落書きをした
悲しい眼をして大人を憎み
支えきれない自分の
捻れた感情
百円ライターで火をつけて
燃やしたいもの
それは何だったんだよ
マスターベーションにしか
本気になれない
そんな少年時代しか
俺にはなかった
あの頃は
百円ライターで火をつけて
燃やしたかった
汚れていく自分を
反抗はしたけれど
ちっとも自立できなかった自分を
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