過ぎゆく秋のざらつき/帆場蔵人
 
銀杏の葉が

繋いだ 手 のなかにとけていくのを
ひとつの幻想として編んでみるふたり
秋を数えては冬が来るのを拒むけれど
数えるほどに擦り傷だらけ、ざらつき

ほどけて かなしみ が 編み込まれて

銀杏の葉は

かなしみと呼ばれる
そこら辺に溢れて、踏まれて

それと同じように、かなしみ、は
何処かで量産されている、ラベルは
同じなのに、かなしみ、は重ならない

重ねたところしか、理解し合えないから
重ねたところでも、理解し合えないから
重ねた手のなかで、銀杏の葉を感じている

そんな ざらつき が いとおしい
距たれるほど かなしみ が いとおしい
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