群集に埋没してしまいそうな
あらゆる完全なものの中で
自分の価値を見失ってしまいそうな
ツクリモノの世界で
ツクリモノの自分が
ツクリモノのコンセプトで
ツクリモノの生き方を模倣する
ぼくにはこの世界の
どこまでが嘘で
どこからが真実か
よく分からないけれど
どこまでが自分で
どこからが自分じゃないのか
よく分からないけれど
失われてゆく
美しいものたちが
忘れられてゆく
清冽なものたちが
永久に消失するのではなく
ぼくらの世界に見切りをつけて
ぼくらには見えない場所へ
行ってしまっただけなのだと信じる
どうすればそこへ
越境できるのだろう?
ぼくは自らの崩壊を
食い止める術を
知らないけれど
古い世界を捨てて
古い自分を捨てて
ツクリモノの虹
に見送られながら
越境の旅にでる
その旅の途中で
ぼくが朽ち果てる
ことができたなら
それはぼくが
生きていた
証しとなる
それまでの間
ぼくは
暫定的に
死んでゆく・・