浅い落とし穴からは少しだけ世界が覗ける/ホロウ・シカエルボク
漏電を思わせる低気圧の真夜中には生焼けの肉の臭いがする、一息に喉の奥に流し込んだハーパーのせいで身体はまるで蒸気オーブンのトレイの中でぶすぶすと少しずつ焦げ続けているみたいだ、ベルベッド・アンダーグラウンドが流れている、アコースティックギターを転がしているみたいなストローク、ライティングは前時代の炭鉱夫たちが下げているカンテラみたいな調子で、それはあらゆる物事を絶妙に錯覚させる、幸せはまるでもっと幸せであるかのように、不幸せはまるでそんなたいしたことじゃないなんて具合に…現実のチャンネルを簡単に変えるなよ、見てくれが違ったところで手触りが変わるわけじゃないんだ―まぶたは微弱な電流が流れてでもい
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