メアリーは病気(その三)/tonpekep
であった。その人生に対して、後世の僕が、結果から良い人生だったとか、悪い人生だったとかは決して判断できないのだが、フランスから出戻った後の彼女の人生はあまりに悲劇的だったかと思う。詩人シラーも、彼女の生涯に悲劇的なものを感じ、メアリーの戯曲を書いていることを思えば、メアリー=スチュアートという一人の女の一生は、僕達の感情を大きく揺さぶるものがあるのは確かだ。
女も男もそうだが、幸せというものにはっきりとした体系はなく、基準はそれぞれに委ねられているわけで、それぞれ個人の幸せな人生、不幸せな人生とは他人が判断するものではないように思う。判断の基準はそれぞれ各個人の、感情に左右されている。
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