フィールド/ミナト 螢
高跳びで超えたバーの向こうに
約束を交わす空があったこと
孤独な大地を蹴り上げる足は
記録よりも記憶に残る顔が
いつもそこにある会心のジャンプ
見せ合う度に燃える心臓が
入れ替わるようなショックを与え
讃えた歓びに包まれていた
何もかもが静まり返る冬は
雪を食べながら冷めていく熱に
痛みを感じる背中の翼も
厚いコートの下で折れ曲り
風を受け取る術もなく春を
待ちわびるだけの沈黙の季節
君の姿を目に焼き付けたなら
僕だってもっと上を目指せるよ
ギュッと握った雪の塊が
同時にぶつかり落下するけれど
今度はこの身体を放り投げて
旅の始まりは空に滞在する
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