メアリーは病気(その一)/tonpekep
先日、ある番組で、最も男運のなかった悲劇の女王、メアリー=スチュアートについて放送されていた。これがなかなか面白かった。
英国史上、最高の美貌を持つ女王として騒がれたメアリーの人生は、愛した男達の運命によって、見事なまでに悲劇的に玩ばれてゆく。
生まれたところがスコットランドの王室であったということ、それ自体がすでに悲劇であったかもしれないが、彼女の性質は政治には適していなかったのだろう。
人生の大半を、幽閉と監禁で過ごしたその晩年の、断頭台に行きつくまでのメアリーの気持ちはどんなものだったろう。
女としての幸せ、男を愛して、そして愛される、ささやかでも幸せな家庭を築き上げることが、彼
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)