街路樹の枯れ落ち葉/こたきひろし
 
拍手も喝采もなく
ただ過ぎていく日々

日常の暖炉に火はなくて
冷めていく体温
暖炉に火が欲しい
見えないものも温めたくて

最初の出会いは
最期の別れに繋がり
その間に
蔦のように絡みついた愛と怨み

騒がない血が
ひっそりと静まりかえって
渇いた管のなかを流れていた

やがて
凍えた空気にたえられずに
水道管みたいに破れてしまうかもしれない

拍手も喝采もなく
ただ過ぎていく時間

街路樹の枯れた葉が湿ったアスファルトの上に落ちていた
その景色を
腐敗してしまいそうな感情の眼で視ていた


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