境界線/ベンジャミン
 

歩くほどに遠ざかる
自分の影を睨みながら
駅のホームの黄色いでこぼこ道をゆく
足の裏から伝わる違和感は
通過列車の突風にあおられて
鞄を持つ手の方へ傾いてゆく身体を
大きく揺らしている
踏みしめるほど薄くなる
靴底のコツコツという声を聞きながら
自分が乗る列車を
探すわけでもなくただ
引き返すこともできないでいる
その道の
端っこで

  
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