御免よ、僕には気づいてあげることが出来なかった/ホロウ・シカエルボク
いつからかどこかからずっと聞こえている小さな悲鳴は僕のものなのかもしれないしあるいはまるで関係のない誰かのものかもしれない、ポータブル・ラジオがたまたまどこかの国の電波を拾ってしまうみたいに僕の受信機に引っかかった誰かの―でも僕にはそれがなんであるかを突き詰めるつもりなんて毛頭ない、そんなものにとらわれてみたところでなにかが出来るわけでもない、いわゆるスピリチュアルな能力なんて持ち合わせがない…こんなものはただ、身体に突然現れた奇妙なホクロみたいな感じで、認識するだけしてあとは気に留めないでおくのが一番なのだ―というわけでしばらくの間、僕はそれをまったく気にすることなく生きた、もちろん最初
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