クロッキー 2 うるま/AB(なかほど)
 
を越えられないこと
 知っているのに
 心が言葉を越えられないと
 うつむいてみる
 それが
 林檎のように沈んでゆく



とっぷりと

 とっぷりと暮れる今日の夜は気前がいい
 なのに僕は眠れない
 るるる、と目を閉じると
 今夜もあの夜と同じなんて嘘ぶき
 らいららいと言って僕もとっぷり暮れよう
 とっぷりと



優しい仕事

 まごころ屋が閉店になる
 食っていけなくなったのではなく
 もう跡継ぎができたという
 けれどこの町の誰もその跡継ぎのことは知らない
 まごころ屋は壊れたオルゴールの小箱を眺めながら今度は
 別離のテープの切っ
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