静かさ/窓/祈り/石村
静かさ
静かさ、といふ音があると思ひます。
秋の夜長、しをれかけた百合を見ながら
静かさに耳を傾けます。
(二〇一八年十一月八日)
窓
十一月のあかるい午後です。
野原いちめんにすすきが波打つてゐます。
野原のまんなかに窓がうかんでゐます。
窓の向かうは、雪がちらついてゐます。
すつかり葉を落とした立ち木もみえます。
小さい子供が、窓に手をかけてのぞいてゐます。
寒さうな手に、姉さんが手をかさねて云ふのです。
行つてはいけない、と
あたらしい風が吹き
季節が変はります。
ちやうど 二本のすすきが枯れたところです。
(二〇一八年十一月十二日)
祈り
血がながれてゐるが
それでいい
ひとはあるいてゆく
いのりのかたちで
(二〇一八年十一月十六日)
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