ラッパ(ごめん。嘘ついてました。)/犬絵
 
い、
あたし、バカかな?
どこへいってみても正しいセリフ出ないんだ。

一度だけ、たった一度だけ、絶望と添い寝をしたら
見るも無残な落日が見えたというリアルをどうすればいい?

たえまなく流れる血の音、
くるおしく忘れられない悪夢。
忘れたくて、忘れたくて、貴女の名を呼ぶの。

ええ、そうね。
いつからか、上を向いては、涙流す日々に慣れてしまったわ。

ときおり聴える高らかな天使のラッパって、なにさ?
貴女からの、あたしへ向けての、エールなの?

夢へ、幻想へ、引き摺り込んでくれるあたたかく優しい震える小声。

それは、感情にまかせた弱さや絶望ではなく、

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