日々/帆場蔵人
たベンチの一点へと
否応なく足は進み
そうして
若き日々に感じた
あらゆることを、まるで
美しい思い出として
酒のつまみに語らうことを
ぼくは傷ましく思う
忘却と懐古、そんな歪な美しさを
ぼくは憩う、忘れてしまった醜さを
刻みたいすべてに、まっすぐに
折れてしまうまえに
それはやはり
悲しみを産むのだから
自分の尾を追いかけて
ぐるぐる回る馬鹿な犬みたいだ
そうして、ぼくのなかには
猫はどこにもいなかった
そんなありふれた悲しみ
2001年8月の誕生日1日前
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