あり得ない世界には/こたきひろし
 
空は一面しかない
大地も一面しかない

あり得ない世界には
空が何面もある
大地も何面もある

私は
真面目に詩を書き上げるつもりなどない
真面目に詩を書き上げる才はないのだ

ただ単純に
思うつくままに文字を並べたいだけなのだ
不真面目を文章にしたいだけなのだ

個人個人の心は一面しかない
訳はない
なのに与えられた体は一体しかあり得ない

私は私の世界に
あり得ない世界を膨らませたい

もし
そんな得体の知れない欲望が肥大して
制御が出来なくなったら

私は私をズタズタに切り裂かなくてはならない

だけど私のあり得ない世界には
結果は何でもありだから
行き着く先では
自分を際限なく赦してしまうに違いないから
何も恐れていない

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