ラスト・ワルツ(路上のソワレ)/ホロウ・シカエルボク
街路で踊るバレリーナの黒髪は長過ぎて、12tトレーラーの後輪に巻き込まれてしまう、悲鳴を上げる間もなく、踊りに陶酔したままの虚ろな表情で、のけぞるように飲み込まれたプリマドンナ、クルミの殻が割れるような音と共に見えなくなっていく…少し遅れて、着地したあとのパラシュートのように彼女の血液がアスファルトに広がる、そんな路上の上でも確かに深紅だと知ることが出来る―血液の湖、束の間の夢の突然の終わりに、彼女はいったいどんな光景を見たのだろう?あっという間に彼女の周りには野次馬が集まる、それは彼女が踊っていたときのものよりもはっきりと多い…そして驚くほどに無遠慮だ、彼女の脳漿はトレーラーの影をなぞるよう
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