或る夜に/ヒヤシンス
さみしさが夜空にぽっかり浮かんでいた。
月は雲に隠れてしまった。
噛み締めたくない孤独は、目の前で立ち昇る煙草の煙と共に、
私の胸にその影を落とした。
夢の中で何人もの人を殺した。
ヤラナケレバヤラレル、ただその理由が為に。
死は恐怖そのものだった。
目が覚めても人肉を槍で貫く感触が手に残っていた。
私の心はさみしさで塗りたくられている。
募る愛しさがさみしさにすり替えられる。
心の貧しさよ、射ろ。
群青色の夜空は深く、さみしさを湛えている。
ふたつのさみしさが共鳴し、
冷たい冬の風に響いている。
戻る 編 削 Point(7)