K/AB(なかほど)
、ついのなりわいをとげるものもあ
り。それを耕す。
おかに生きるものよりも、海に生きるもの
が多いとか。わずかの影に逃げおおせれば、
これ幸い、と。我らの命の源は全て太陽よ
り得たり、とはいえ、その律動は月に、そ
の喜びは月に、その安堵は、しとりとする
土くれの中へ。
すまぬ、
全ては同じ命とはいえ、今日も耕す。ただ
己の愛するもののために、耕す。
そんな奴にさえも、木漏れ日はやさしい。
影は、
もっとやさしい。
3
雨が降っている。
破れた蝙蝠傘をさした賢治さんがしゃがみ
こんでいる。100年経っても芽はまだ出
ないらしい。
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