ロストの先端/ホロウ・シカエルボク
 
じだ。丸一日眠り込んでいたらしい。そういうことはよくある。物凄く寝てばかりいたり、と思うと何日も一睡もしなかったり…時計という概念とは別の時間を生きるようになったわたしは、驚くほど自由な感覚で日々を過ごすようになった。その時自分にとって一番必要なものを、自然に選択して実行することが出来た。身体が求めるだけ眠ればいい、身体が求めるだけ起きていればいい。それが自分の身体にとっていちばんいいことだ。それは凄くシンプルなことなのだ。でも、この暮らしに至るまでのわたしはそんなことすら自由に選ぶことは出来なかった。そのことを思うといまでも時々唖然とする―スマートホンをやめて良かったな、とわたしは思う。あれは鎖
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