色鮮やかによみがえる歌/卯月とわ子
 
懐かしい歌が頭の中に流れる

まだわたしが少女だった頃
わたしの世界を満たしていた音楽
こんなに遠くへ来ても
忘れることの無い歌

少しだけ口ずさめば
貴方が思い浮かぶ
まだ何も知らなかった子供のわたしと
世界を見渡す目を持っていた貴方

背伸びして
ほんの少しだけ貴方の世界を覗いた事があった
あの時の喜びを忘れたりはしない
貴方の瞳の優しさの理由を知ったのだから

今はもう
貴方とも離れて
わたしは一人でこんなに遠くまで来たけれど
わたしの中にはまだ
あの日の少女が眠ってる
あの日の記憶が生きている

懐かしい歌は色褪せない
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