夕べの奇跡/ひだかたけし
 
開いた本の頁が
ほんのり茜に染まる頃
太陽は傾きながら爆発し続け
西空はやがて色彩渦の奔流となる
わたしは本から顔を上げ
地上の夕べの目眩く一瞬を
遠退く意識に刻み込む

夜闇が忍び込むその手前
爆発し続ける色彩渦の奔流に
宇宙が沈黙のうち叫んでいる





 





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