波の子/
帆場蔵人
常夏の陽が波にとけ
波の子生まれ遥々と
この島国へ流れ流れて
夏を運んで、春を流して
波の子ゆすら
ゆすら、すら
鰯の群れや鯨の髭を
気ままにゆらし
ゆすらすら
浜辺に埋めた悲しみを
夏の波の子、あやします
寄せては返し、ゆすらすら
口を閉ざした貝たちも
唄いはじめる、ゆすらすら
浜辺に埋めた悲しみも
遠い海へと運ばれて
いつしか波に還ります
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